オペラ界のビッグスター、アンナ・ネトレプコのオンライン・ライブ・コンサート

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Met Stars Live in Concert, Anna Netrebko / The Spanish Riding School in Vienna, Austria

MET STARS LIVE IN CONCERT:Anna Netrebko The Spanish Riding School in Vienna, Austria, February 6, 2021

2021年2月6日にウィーンにて、生放送で世界各国にライブストリーミング

待ってました!オペラ界人気ナンバーワン、ソプラノ、アンナ・ネトレプコのライブ・コンサートを観ました。

さすが、大スターのアンナにふさわしく、ロケーションは豪華かつ、とてもユニークです。コンサートが行われたバロック式の大ホールは、スペイン式馬術学校の屋内馬場!実は、このゴージャスな建物は、ハプスブルク家の歴代皇帝が住んでいたホーフブルク王宮にある、宮廷馬術学校のホールなのです。ここは「リピッツァナー(Lipizzaner)」というハプスブルグ家で重用された美しい白馬が日々調教され、高等な古典馬術の演技を披露する馬場だそうです。

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Spanischen Hofreitschule, Hofburg, Wien

調べてみると、ここはウィーンの観光名所の一つになっていて、ウィーンのコンサート・チケット販売サイトに、このスペイン式古典馬術のパフォーマンス見学チケット情報が載っているほどです。https://www.viennaconcerts.com/riding_school_vienna.php

さて、アンナの演目ですが、プログラムを見ると、全19曲あります。最初、私は彼女のオペラのレパートリーから、お得意のアリアを沢山披露してくれるかと期待していましたが、19曲のうち、オペラからは、3曲のみ。「ルイーズ」のアリアと、「ホフマン物語」のデュエット、「スペードの女王」のデュエット。それ以外は、小品の歌曲(英語では「Art song」と呼ばれています)。

歌曲は、彼女の母国ロシアの作曲家ラフマニノフ、チャイコフスキー、リムスキー=コルサコフの作品が半分以上を占め、他は、ストラウス、ドビュッシー、レオンカヴァッロ、ドヴォルザークの作品です。(最後に演目リストを載せていますのでご覧ください。)

司会役の、ソプラノ歌手クリスティン・ゲルケによると、アンナは、このコンサートのタイトルを「Day and Night」と名付けたそうです。昼と夜。明るさと暗さ。そういえば、アンナの着ているドレスも、黒と白の2色の対照した色で「Day and Night」を表現してるようです。

プログラムの最初の歌、ラフマニノフの作品21 第5番「リラの花」で、一日の始まりを上手く表現しながら、観客をアンナの美しい歌の世界へ連れて行きます。

   歌詞の日本語訳:「リラの花」

             朝早く、明け方に露に濡れた草を踏み 

             私はすがすがしい 朝の空気を吸いに行く

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Met Stars Live in Concert, Anna Netrebko / The Spanish Riding School in Vienna, Austria

そこから、さらにロシア語、そしてフランス語、ドイツ語の歌曲を次々に披露して昼間のムードに入り、続いてフランスの歌劇『ルイーズ』より、有名な「その日から」"Depuis le jour"を情感を込めて歌いました。この幸せにに満ちた曲を通して若いルイーズの初々しさを見事に演じていました。その後、チャイコフスキーの歌曲が2曲。続いて、レオンカヴァッロの「朝の歌」で第一部を終えました。


Anna Netrebko Live in Concert

アンナが一息つく間、ニューヨークのレコーディングスタジオ内が放映され、司会のクリスティン・ゲルケとMETのピーターゲルブ総支配人が、今後のMETのキャスティングのプランや、アナのMETでの活躍を話した後、アナが出演した多数のMETライブビューイングのビデオクリップを年代順に次々と披露。「ランメルモールのルチア」、「エフゲニー・オネーギン」、「愛の妙薬」などのオペラから、アンナのファンへのサービスと同時にメトロポリタンオペラをアピールをしていました。


Anna Netrebko Live in Concert: Trailer

第二部は、「Day and Night」の夜の部に入ります。初めに、歌劇「スペードの女王」の「夜のとばりがおりて」を、ロシア人メゾソプラノのエレナ・マクシーモワと一緒に歌いあげました。チャイコフスキーの美しい旋律で、歌劇「スペードの女王」でリーザとポリーナが夕暮れの美しさを歌いあげるしんみりした場面です。ステージの演出もバッチリで、このデュエットの歌い始めは明るかった照明が、歌が終わるころには、気づかない内にすっかり夜になっていて、ロウソクにも明かりが灯っていました。

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Met Stars Live in Concert, Anna Netrebko / The Spanish Riding School in Vienna, Austria

後半、数々の夜のテーマの歌曲の間、再度、ニューヨークのレコーディングスタジオへカメラが移動。2014年にMETが制作したヴェルディの『マクベス』第四幕から、アンナ演じるマクベス夫人の「夢遊病のアリア」のシーンが放映されます。アンナの迫真の演技と熱唱の全シーンを約8分間を見せてくれました。

(このYoutubeビデオは、Macbethの第一幕のアリアです)


Macbeth: "Vieni, t'affretta" (Anna Netrebko)

 最後の部で、ドヴォルザーク の「母が教えてくれた歌」の他に、歌曲数曲、そして、オッフェンバッハのオペラ『ホフマン物語』のバルカロールをメゾソプラノのエレナ・マクシーモワとデュエット。このオペラのシーン、ベネチアの雰囲気を出すために、二人共、仮面舞踏会用のベネチアンマスクを手に持って歌いました。エレナ・マクシーモワの銀色のドレスとアンナの黒いドレスの色の対照が印象的な美しさでした。

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Met Stars Live in Concert, Anna Netrebko&Elena Maximova / The Spanish Riding School in Vienna, Austria

最後に、母国語ロシア語でチャイコフスキーの愛の歌曲を熱唱。一途な愛の言葉で締めくくりました。

   “Amidst the day,” Op. 47, No. 6 

              Все, Все, Все, Все для тебя! 

             すべて、すべて、すべて、あなたのため!

アンナが歌い終わってからの、伴奏ピアニストPavel Nebolsinのエンディングがまた素晴らしく、とても美しい余韻を残してくれました。

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Met Stars Live in Concert, Anna Netrebko, Elena Maximova & Pavel Nebolsin / The Spanish Riding School in Vienna, Austria

オペラ初心者の私には、最初に演目リストを見た時、初めて聴く曲が沢山あり、正直言って戸惑いました。しかし、このコンサートを体験することによって、自分が知らなかった良い歌曲に沢山出会えて、勉強させてもらう良い機会になりました。アンナに感謝します。

MET STARS LIVE IN CONCERT:Anna Netrebko 

演目 The Program

“Lilacs,” Op. 21, No. 5
By Sergei Rachmaninoff

“Before my window,” Op. 26, No. 10
By Sergei Rachmaninoff

“How fair this spot,” Op. 21, No. 7
By Sergei Rachmaninoff

“The lark’s song rings more clearly,” Op. 43, No. 1
By Nikolai Rimsky-Korsakov

“Morgen!” Op. 27, No. 4
By Richard Strauss

“Il pleure dans mon cœur”
By Claude Debussy

“Depuis le jour”  「その日から」
From G. Charpentier’s Louise オペラ『ルイーズ』より

“It was in the early spring,” Op. 38, No. 2
By Pyotr Ilyich Tchaikovsky

“Tell me, in the shade of the branches,” Op. 57, No. 1
By Pyotr Ilyich Tchaikovsky

“Mattinata”
By Ruggero Leoncavallo

“Uzh vecher … Oblakov pomerknuli kraya”
From Tchaikovsky’s The Queen of Spades オペラ『スペードの女王』より

“The clouds begin to scatter,” Op. 42, No. 3
By Nikolai Rimsky-Korsakov

“Nights of Delirium,” Op. 60, No. 6
By Pyotr Ilyich Tchaikovsky

“Die Nacht,” Op. 10, No. 3
By Richard Strauss

“Ständchen,” Op. 17, No. 2
By Richard Strauss

“Songs my mother taught me” from Gypsy Songs「母が教えてくれた歌」
By Antonín Dvořák ドヴォルザーク 

“A Dream,” Op. 38, No. 5
By Sergei Rachmaninoff

“Belle nuit, ô nuit d’amour” (Barcarolle「美しい夜、おお恋の夜」

From Offenbach’s Les Contes d’Hoffmann オペラ『ホフマン物語』より

“Amidst the day,” Op. 47, No. 6
By Pyotr Ilyich Tchaikovsky

参考記事:

Vienna Tourist Board (日本語ページ)

https://www.wien.info/ja/sightseeing/sights/imperial/spanish-riding-school

江本純子 ミュージックトレード社『Musician』2017年6月号 掲載コラムhttp://www.piano.or.jp/report/column-musician/081.html

Anthony Tommasini. “Its Musicians Are Out of Work, but the Met Is Streaming.”

 The New York Times, Feb. 7, 2021

https://www.nytimes.com/2021/02/07/arts/music/met-opera-anna-netrebko.html

Miranda Heggie. “Netrebko, Met Stars Live in Concert online review - flashy performance from operatic powerhouse.” The Arts Desk Ltd., 09 February 2021

https://theartsdesk.com/opera/netrebko-met-stars-live-concert-online-review-flashy-performance-operatic-powerhouse

James Jorden. “From Vienna, Anna Netrebko Streams an Ecstatic Program of Songs.”The New York Observer, Feb. 8, 2021

https://observer.com/2021/02/from-vienna-anna-netrebko-streams-an-ecstatic-program-of-songs/

Richard Fairman. “From Fleming to Netrebko, star singers shine online.” The Financial Times, Feb. 8, 2021

https://www.ft.com/content/ab228dd6-d564-46df-b2c7-15bf8652ba22

 



 

 

2021年最初のメトオペラ・ライブ・コンサート!

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Piotr Beczała and Sondra Radvanovsky Live in Concert

Met Stars Live in Concert, Piotr Beczala & Sondra Radvanovsky, January 23, 2021 

テナー:ピョートル・ベチャワ

ソプラノ:ソンドラ・ラドヴァノフスキー 

2021年最初のメトロポリタンオペラ・ライブ・コンサートを観ました!このコンサートは、毎日 無料配信されるNightly Opera Streamとは別で、有料。チケット20ドルを買うと、世界各国から受信可能。ライブ終了後も、オンデマンド配信で2週間利用できます。私が前回METライブ・コンサートを観たのは9月の Joyce DiDonatoのコンサートだったので、久しぶりのライブ鑑賞です。

 ポーランド出身のテノール歌手ピョートル・ベチャワは私のお気に入りのシンガーなので、とても楽しみにしていました。特に、アメリカ人ソプラノ、ソンドラ・ラドヴァノフスキーとピョートルのペアのコンサートは滅多にないので、貴重な経験!

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MET STARS LIVE IN CONCERT At Historische Stadthalle, Wuppertal , Germany

 場所は、ドイツのヴッパータールと言う町の歴史的建築様式のコンサートホール。外観も素敵ですが、内部にはいくつも大広間があり、それぞれとても素晴らしい内装です。(ホームページより、https://www.stadthalle.de/)小さなオペラハウスと言ってもいいくらい、オーケストラの演奏も出来る広いホールで、音響効果もバッチリだそうです。それにしても、無観客のオペラのコンサート、なんて贅沢な使い方なんでしょう!広大なスペースに、ピアニストと歌手二人、観客は無し。

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MET STARS LIVE IN CONCERT At Historische Stadthalle, Wuppertal , Germany

 今回も、ニューヨークのレコーディングスタジオで、ソプラノ歌手のクリスティン・ゲルケが司会役、METのピーターゲルブ総支配人の挨拶も。


Sondra Radvanovsky and Piotr Beczała: Concert Highlights

 


Sondra Radvanovsky and Piotr Beczała in Concert

演目は13曲。それぞれのソロの間に、丁度良い具合にデュエットが入り、それそれの魅力が楽しめる上に、全体的にバランスの取れた演目だったと思います。最後の3曲はドヴォルザークの「ルサルカ」より。まず、ソンドラが、ルサルカ1幕で歌われる『月に寄せる歌』を歌いムードを盛り上げ、その後ピョートルが『王子のアリア』を歌いました。そして、いよいよ最後、二人でクライマックスのデュエットを歌い、ラストのシーンを演じてくれました。ルサルカが王子にキスをすると、王子は命を落とすシーンです。ここで、ソンドラとピョートルは本当にキスシーン©を演じたのでびっくりしました。さすがプロの役者です。

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MET STARS LIVE IN CONCERT At Historische Stadthalle, Wuppertal , Germany

ソンドラは、17歳の時にお父さんを失くしたそうで、『月に寄せる歌』を歌う時に「父に捧げます。」と言い、ステージで声を詰まらるシーンも。こちらまでつい、もらい泣きしそうになり、最後に王子が死ぬシーンではしっかり泣かされました。

 観客が全く居ないコンサートにもかかわらず、ピョートル、ソンドラ、ピアニストVincenzo Scalera の熱気が伝わってきて、やっぱりデュエットのコンサートは良いなと思いました。

 

参考記事と演目プログラム

Rhinegold Publishing, By Francis Muzzu  January 25, 2021

https://www.rhinegold.co.uk/opera_now/met-opera-stars-live-in-concert-review/

Observer, By Christopher Corwin 01/25/21 

https://observer.com/2021/01/radvanovsky_and_beczala_perform_met_stars_live/

New York Times, By Vivien Schweitzer April 19, 2011

https://www.nytimes.com/2011/04/20/arts/music/sondra-radvanovsky-a-soprano-ascendant.html

 

Piotr Beczała and Sondra Radvanovsky, with Vincenzo Scalera, Piano

The Program

ヴェルディ「運命の力」より “Pace, pace, mio Dio”
From Verdi’s La Forza del Destino 

ヴェルディ「ルイザ・ミラー」より

 “Oh! fede negar potessi ... Quando le sere al placido” From Verdi’s Luisa Miller 

 ヴェルディ「仮面舞踏会」より“Teco io sto ... Non sai tu che se l’anima mia ... Oh qual soave brivido” From Verdi’s Un Ballo in Maschera 

ジョルダーノの「アンドレア・シェニエ」より、3曲

 “Come un bel dì di Maggio”
From Giordano’s Andrea Chénier 

 “La mamma morta”
From Giordano’s Andrea Chénier

“Vicino a te s’acqueta … La nostra morte”
From Giordano’s Andrea Chénier

プッチーニの「マノン・レスコー」より

“Sola, perduta, abbandonata”
From Puccini’s Manon Lescaut

 

ピエトロ・マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」より

 “Mamma, quel vino è generoso” 
From Mascagni’s Cavalleria Rusticana 

フランチェスコ・チレアの「アドリアーナ・ルクヴルール」より

“Io son l’umile ancella”
From Cilea’s Adriana Lecouvreur

ポーランドの作曲家スタニスワフ・モニシュコのオペラ「Halka」より

“Szumią jodły na gór szczycie”
From Moniuszko’s Halka

ドヴォルザークの「ルサルカ」より、3曲

Song to the Moon
From Dvořák’s Rusalka

Prince’s Aria
From Dvořák’s Rusalka

Final Duet
From Dvořák’s Rusalka

英国ロイヤル・オペラ・ハウスが、ライブコンサートを有料配信!The Royal Opera: Live in Concert 

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Royal Opera House ・Photograph: Sim Canetty-Clarke


ロイヤルオペラハウスは、9月4日ロンドン時間7:30pmにコベントガーデンからライブコンサートを開催。Vimeoを通じて生放送され、世界各国から受信可能。チケットの価格は16ポンドでライブ終了後も、オンデマンド配信で30日間利用できます。

 

ロイヤルオペラハウスのオペラディレクター、オリバーミアーズ氏いわく、有料コンサートからの収益は通常時の劇場収益には及びませんが、3月から余儀なくされた劇場閉鎖による経済的ギャップを埋めるのに、できる限りのことをしなければなりません。

 

演目は、広く知られている曲が盛り沢山。オペラ初心者でも楽しめるものばかりです。モーツアルトのフィガロの結婚、ロッシーニのセビリアの理髪師、ドニゼッティの愛の妙薬、チェネレントラ、ヴェルディ―のオセロ、ドヴォルザークのルサルカ、オッフェンバックのホフマン物語、マシネのマノン、ビゼーのカルメン、プチーニのトスカ。

 

主要キャスト

 音楽監督 アントニオ・パッパーノ指揮

ソプラノ

リゼット・オロペサ Lisette Oropesa

クリスティン・オポライス Kristine Opolais 

メゾソプラノ

アイグル・アフメトシナ Aigul Akhmetshina 

テナー

チャールズ・カストロノヴォCharles Castronovo  

フィリッペ・マヌ Filipe Manu

バリトン

ヴィート・プリアンテ Vito Priante

バス・バリトン

ジェラルド・フィンリー Gerald Finley 

バス

ジェレミーホワイト Jeremy White 

ロイヤル・オペラ・ハウス合唱団

ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団

  • W.A. Mozart: Overture from Le nozze di Figaro
    • G. Rossini: ‘Largo al factotum‘ (The Barber of Seville) – Vito Priante (Figaro)
    • G. Donizetti: ‘Caro elisir!’ recitative and duet (L’elisir d’amore) – Lisette Oropesa (Adina), Charles Castronovo (Nemorino)
    • G. Rossini: ‘Non più mesta’ (La Cenerentola) – Aigul Akhmetshina (Angelina), Royal Opera Chorus Tenors and Basses
    • V. Bellini: La sonnambula, final scene – Lisette Oropesa (Amina), Filipe Manu (Elvino), Royal Opera Chorus
    • G. Verdi: ‘Forse la soglia attinse’ (Un ballo in maschera) – Charles Castronovo (Riccardo)
    • G. Verdi: ‘Credo in un Dio crudel’ (Otello) – Gerald Finley (Iago)
    • A. Dvořák: ‘Song to the Moon’ ‘(Rusalka) – Kristine Opolais (Rusalka)
    • J. Offenbach: ‘Scintille, diamant’ (Les Contes d'Hoffmann) – Vito Priante (Dappertutto)
    • J. Massenet: Recitative and Gavotte (Manon) – Lisette Oropesa (Manon), Royal Opera Chorus Tenors and Basses
    • G. Bizet: Final act of Carmen – Aigul Akhmetshina (Carmen), Charles Castronovo (Don José), Vito Priante (Escamillo), Royal Opera Chorus
    • G. Puccini: Act I duet and ‘Te Deum’ from Tosca – Kristine Opolais (Tosca) and Gerald Finley (Scarpia), Filipe Manu (Spoletta), Jeremy White (Sacristan), Royal Opera Chorus

 

ルネフレミングのライブコンサートに行った! MET Stars Live in Concert - Renée Fleming

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Photographer - Kristian Schuller / The Metropolitan Opera

Opera Star Renée Fleming MET Stars Live in Concert @Dumbarton Oaks in Washington, DC

2020年8月1日に首都ワシントンD.C.のダンバートン・オークス邸にてライブ放映 

 メトロポリタン・オペラの有料ライブ・コンサートの第2回目に、世界的オペラスター、ルネ・フレミングが登場。ルネのソロ・コンサートは、首都ワシントンD.C.ジョージタウン地区にあるダンバートン・オークス邸/研究図書館で行われた。ホワイト・ハウスから車で15分程の場所にあり、ルネが住むバージニア州マックリーンにも近い。ちなみに、マックリーン(McLean, VA)は外交官、ビジネスマン、議会のメンバー、政府高官が多く住む高級住宅街だそうです。

ヨナス・カウフマンのソロ・コンサート同様に、カメラに映るのはのピアニスト(Robert Ainsley)とルネの二人だけ。撮影カメラは4台で、そのうち2台はロボットカメラだそうです。ニューヨークのレコーディングスタジオでは、前回同様、ソプラノ歌手のクリスティン・ゲルケがホスト役。


Renée Fleming: “O mio babbino caro” / The Metropolitan Opera

歌の合間休憩時間に、過去のメトロポリタンオペラのビデオクリップだけでなく、ルネの生い立ちや若い時の写真、又、彼女をよく知る同僚のメゾソプラノ、スーザン・グラハム(Susan Graham)がルネの事を語るインタビュー、さらに、ルネがアメリカの国民的スター歌手だという事を証明する2014年スーパーボウルの国歌斉唱ビデオまで含まれていました。


NFL Super Bowl XLVIII 2014 - Renee Fleming sings National Anthem 'The Star Spangled Banner' 2014

私が大好きなオペラの一つ「エフゲニー・オネーギン」(チャイコフスキー作曲)の最後のシーンが出てきたのは、とても嬉しかったです。コンサートの休憩にしては、少し長かったかもしれませんが、このオペラの最後のクライマックスシーンなので、途中で切ると意味がありませんからね。このメトロポリタン・オペラ2007年公演の、オネーギン役は、今は亡き世界的バリトン歌手ディミトリ・ホヴォロストフスキー。彼女にとって思い出深い舞台だったでしょうね。

 

 

ヨナス・カウフマンのMETライブ・コンサート ドイツ・ミュンヘン郊外バイエルンのポリング修道院にて Met Stars Live in Concert on July 18, 2020

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Helmut Deutsch & Jonas Kaufmann・2020 The Metropolitan Opera


7月18日、メトロポリタン・オペラの有料オンディマンド、ライブ・コンサートの第一弾が開催され、ヨナス・カウフマンがトップを切ってステージへ。

ドイツ・ミュンヘン郊外バイエルンのポリング修道院のLibrary(図書室)がコンサートホール。上品でシンプル、美しい内装に、照明もバッチリ。あ~素敵!行ってみたいな。カメラに映るのは、ヨナスとオーストリアのピアニスト、ヘルムート・ドイッチュの二人だけ。雰囲気はコンサートというより、まるでどこかの貴族が所有する豪邸での個人リサイタルのようです。

ニューヨークのレコーディングスタジオでは、ソプラノ歌手のクリスティン・ゲルケがホスト役。METのピーターゲルブ総支配人もインタビュー出演。

演目は12曲。数曲歌い、休憩をとっていると思われる間に、ヨナスが過去にMETで出演したビデオクリップや、写真が放映されます。これは彼のファンにとっては、ラッキーボーナスですね。

彼の声の魅力が最大限に発揮されるロマンチックなアリアに始まり、最後は有名なネッスン・ドルマ(誰も寝てはならぬ)でフィナーレです。

  • プッチーニ(Giacomo Puccini)のトスカ(Tosca)から、2曲、「妙なる調和(Recondita armonia)」と「星は光りぬ(E lucevan le stelle)」。
  • ビゼー(Georges Bizet)のカルメン(Carmen)から、「花の歌(la fleur que tu m'avais jetée)」。
  • プッチーニ(Giacomo Puccini)のトゥーランドット(Turandot)から誰も寝てはならぬNessun Dorma(ネッスン・ドルマ)
  • その他 全12曲

一見パーフェクトに見えたコンサートですが、一つだけ足りないものがありました。観客です。いつも聞こえる、歌を歌い終わったあとの拍手喝采が全く無く、シーンとした間がありました。観客が全く居ないコンサート。観ている側としてそれが寂しかったです。しかし、観客のエネルギーと熱意が直接感じられない状況で、ヨナスとヘルムートは、精いっぱい良くやったと思います。さらに、このような状況の中、よく出来たコンサートだったと思いますし、MET初の試みであるこのようなライブコンサートに、一番最初に出演したヨナスはとても勇気があるアーティストだと思います。

 

しかし、専門家のレビューはあまり芳しくありません。テレグラフ紙の見出しは“oddly depressing show” (妙に重苦しい)とありますし、ニューヨークタイムズ紙は“ pushed the promotional trappings a little too obviously”(プロモーションの罠)等と手厳しいですね。

 

Jonas Kaufmann in Concert

The Program

“Recondita armonia” From Puccini’s Tosca

“E lucevan le stelle” From Puccini’s Tosca

“La fleur que tu m’avais jetée” From Bizet’s Carmen

“L’amour, l’amour … Ah! lève-toi, soleil!” From Gounod’s Roméo et Juliette

“O paradis sorti de l’onde” From Meyerbeer’s L’Africaine

“Ah! Tout est bien fini ... O Souverain, ô juge, ô père!” From Massenet’s Le Cid

“Cielo e mar” From Ponchielli’s La Gioconda

“L’anima ho stanca” From Cilea’s Adriana Lecouvreur

“Ombra di Nube” By Licinio Refice

“Un dì, all’azzurro spazio” From Giordano’s Andrea Chénier

“È la solita storia” From Cilea’s L’Arlesiana

“Nessun dorma” From Puccini’s Turandot

2020年7月18日 メトロポリタン・オペラ 初の試み METライブ・コンサート オンディマンド 第一弾 ヨナス・カウフマン

 

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MET Stars Live in Concert ・ 2020 The Metropolitan Opera


コロナ禍で公演中止のエンタメ業界。ニューヨーク・メトロポリタン・オペラ(MET)は、3月半ばから日替わりで、METライブビューイングを無料提供。昔、オペラが好きだったけど、子育てで何年もオペラから遠ざかっていた私は、これを機会に一気にオペラ熱が再炎上。このNightly MET Opera Streamが始まってから、ほぼ毎日METのオペラを観劇させてもらっています。

 

無料提供をする一方で、着々と準備をしていたらしく、7月に入ってからMETは、「衛星中継 METライブ・コンサート Met Stars Live in Concert」の開催を発表。1つのコンサートを$20で提供し、劇場閉鎖中でも、オペラファンが自宅でライブ・コンサートが楽しめるようなプログラムを考え出しました。https://www.metopera.org/

 

このコンサート・シリーズは、7月から12月にかけて、12回に渡って行われる予定だそうです。参加するアーティストは、

  • July 18: Jonas Kaufmann, live from the Polling Abbey in Polling, Bavaria
  • Aug. 1: Renée Fleming, live from the Dumbarton Oaks Museum in Washington, D.C.
  • Aug. 16: Roberto Alagna and Aleksandra Kurzak, live outdoors from the Château de la Chèvre d’Or in Èze, France (sole Sunday performance)
  • Aug. 29: Lise Davidsen, live from the Oscarshall Palace in Oslo, Norway
  • Sept. 12: Joyce DiDonato, live from the Fundació Hospital de la Santa Creu i Sant Pau in Barcelona, Spain
  • Sept. 26: Sondra Radvanovsky and Piotr Beczała, live from Barcelona, Spain (location TBD)
  • Oct. 10: Anna Netrebko, live from Liechtenstein Palace in Vienna, Austria
  • Oct. 24: Diana Damrau and Joseph Calleja, live from Malta (castle location TBD)
  • Nov. 7: Pretty Yende and Javier Camarena, live from Zurich, Switzerland (location TBD)
  • Nov. 21: Sonya Yoncheva, live from Berlin, Germany (location TBD)
  • Dec. 12: Bryn Terfel, live from Wales (church location TBD)
  • Dec. 19: Angel Blue live from New York City (location TBD)

2020年7月18日に第一弾、私のお気に入りの一人、ヨナス・カウフマンのライブコンサートがありました。TV画面で見るライブ・コンサートって、どうかしら?と思いつつ、とりあえず$20のチケットを前売り購入。当日を楽しみにしていました。

 

当日、ドジな私は、チケットを購入したら送られてくるEメールが中々見つからず、時間通りにコンサートに入れず。やっと見つけてコンサートにログインしたのは、始まってから20分でした。しかし、遅れても誰にも迷惑をかけることもなく、コンサート会場である、ドイツ・ミュンヘン郊外バイエルンのポリング修道院へ無事に入れました。(バーチャルで)実際に劇場に行って見るオペラとはまた違う良さがあり、十分に楽しませてもらいました。遅れたために観れなかった部分も、後で、録画されているビデオで観れるので心配ありません。録画は12日間観れるそうです。